発明・産業上利用性の判断基準



発明(考案)かどうかの判断基準

 発明(考案)かどうかは「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるかどうかで判断します。これに基づいて特許庁が出している審査基準では以下のものは発明(考案)に該当しないことになっています。

 つまり、以下のものに該当しなければ発明(考案)となります。

自然法則自体

 「エネルギー保存の法則」などの自然法則自体は発明(考案)に該当しません

単なる発見

 天然物や自然現象等を単に発見しただけでは発明になりません。発明(考案)には作り出すという要素が必要です。

自然法則に反するもの

 自然法則に反する「永久機関」等は発明(考案)に該当しません。

自然法則を利用していないもの

 自然法則でない経済法則や、人為的な取り決め、数学上の公式、人間の精神活動を利用しているものは発明(考案)に該当しません。

 但し、自然法則を利用していない部分があっても全体として自然法則を利用している場合は発明(考案)に該当する場合があります。

 また、発明者は自然法則を正確に認識している必要はなく結果として利用すれば足ります。例えば、実験により理由はわからないが一定の構成により一定の効果が得られることが証明できるならば発明(考案)として成立します。

技術的思想でないもの

 技能(知識として第3者に伝達できる客観性がない)や単なる情報の提示(機械の操作方法を示したマニュアル、音楽を録音したCD)、単なる美的創作物は発明に該当しません。

 但し、情報の提示方法は技術的特徴があれば発明(考案)に該当します。

目的達成の手段をすべて欠くもの、又は、手段は示されているもののその手段によっては、その目的を達成することが明らかに不可能なもの

 単に願望を述べただけのものや、手段から目的が達成できないものは発明(考案)とは言えません。


産業上利用性の判断基準

 ここでいう産業は広い意味での産業を意味しています。従って、市販や営業の可能性があるものは産業上利用性があると判断されます。審査基準では産業上の利用性がないとされる場合として次のものが挙がっています。

 つまり、以下のものに該当しなければ産業上利用性はあるということになります。

医療行為

 人間を手術、治療、診断する方法は人道上世の中に開放するべきなので産業上利用性がないものとされます。

 但し、医療器具、医薬は医療行為ではないので産業上利用性が認められます。また、人間以外の動物に対するもので人間が含まれないことが明らかな場合は産業上利用性があるものとされます。

個人的・学術的・実験的にのみ利用される発明(考案)

 喫煙方法のように個人のみが利用できて営業の可能性がないものは産業上利用性はありません。但し、「のみ」ですから産業に利用することもできるならば産業上利用性有りとなります。 

実際上、明らかに実施できない発明(考案)

 理論的には実施可能でも実際に実施することが考えられない場合も産業上利用性が認められません。審査基準では「オゾン層の減少に伴う紫外線の増加を防ぐために、地球表面全体を紫外線吸着プラスチックフィルムで覆う方法」という例が挙げられています。


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